震災関連の税務(1)
2011-06-20
これから何回かに分けて、今回の震災に関連した税制についてご紹介します。
第1回目は、所得税の雑損控除です。
雑損控除は、災害、盗難又は横領によって損害を受けた場合や、災害に関連して
やむを得ない支出をした場合に、その金額のうち、一定の金額を
その災害が生じた年の所得の金額から
控除することができるという規定です。
でも、大規模な災害が生じた場合、その年に所得など発生するものでしょうか。
たとえ、雑損控除が適用できる損害があったとしても、
そもそも、所得がなければ損失を控除することはできません。
これを具体的に今回の震災の場合で当てはめてみると、
個人事業を営んでいたAさんが、3月11日に津波被害を受け、
それ以降事業の再開ができないまま、平成23年が終了した場合。
Aさんの平成23年の事業の収入は、1月からの2ヶ月半足らずのみです。
所得が出る可能性は大変低いものとなります。
たとえ莫大な災害損失額が出たとしても、ひくための所得がなければ
絵に描いた餅です。
そこで、震災特例法では、この雑損控除の規定を実効性のあるものにするために、
被災年の前年、平成22年の所得にさかのぼって、
控除することができるものとしています。
なお、土地については通常、損失を計上することはありませんが、
震災による地盤沈下の影響で、自己の所有する土地が海面下になってしまい、
現状を回復することができないと確定したものは、
その損失額を雑損控除の対象とすることができます。
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