海外進出支援
武蔵小山会計事務所&WBの海外進出支援
海外進出を検討されている事業家の方々の様々な課題、不安点を解消するお手伝いをしております。「海外進出について相談したい」「海外の税務申告をサポートして欲しい」「諸外国の情報を入手したい」「国際税務について理解したい」などのご要望がありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
また、個人の方の海外投資のご相談や相続税対策についても承っております。
■ 留意すべき税務上の論点
(1) 恒久的施設(PE)の有無
「PEなければ課税なし」が国際税務のルールであり、海外進出先でのPEに該当する施設の有無が、課税の重要な判断要素となります。
PE(Permanent Establishment)とは、「事業を行う一定の場所」と定義されており、支店や工場が典型例です。建設工事現場は、一定期間を超えて存続する場合は、PEとなります。商品の展示のための施設使用のように、準備的または補助的な活動を目的として使用している施設については、PEにあたらないとされています。
(2) 外国税額控除の適用
国内法人は、原則として全世界所得について申告納税する義務があります。しかし海外で課税された所得についても国内で課税されると、同一所得に対して二回課税されることとなります。
この国際間における二重課税の解消のため、日本では、国内での申告時に外国で納付した税額相当額を控除できる外国税額控除制度が適用されています。
(3) 租税条約の適用
租税条約とは、法人税や所得税など所得に課税される分野について、日本と諸外国がそれぞれで二国間租税条約を締結し、投資や輸出入などの海外取引において大きな役割を果たしています。世界中で3000本近い二国間租税条約があり、日本も45カ国との間で締結しています。
租税条約の主な役割は、二重課税の調整と脱税の防止です。その他に所得の課税の範囲、源泉税の問題、情報交換など二国間で独自の取り決めを行っています。国内法と租税条約が異なる取り決めをしている場合は、租税条約が優先して適用されます。
(4) 移転価格税制
外国のグループ会社との間の取引について、実際の取引価額ではなく、「独立第三者価格」を用いて取引がされたとみなして課税を受けることがあります。これは、意図的に税率が低い国で課税を受けるように調整し、税率が高い国の税収が少なくなるような操作を防止するための制度です。
(5) 源泉税の取り扱い
海外から受け取る(又は支払う)利子、配当、使用料などは、源泉税が徴収されます。
この源泉税の税率は、所得発生国の国内法に基づきますが、租税条約が締結されている場合は、その中で取り決めている軽減税率が適用となります。ただしこの場合は、税務署に対して事前申請が必要です。
(6) タックスヘイブン税制
海外の国(地域)の中には、税金を極めて低い税率とするかまたは課税をまったくしないところがあります。そのような国(地域)に子会社を設立し所得を貯蓄すれば、課税を回避することができてしまいます。
日本では、税率20%以下の国(地域)をタックスヘイブン(税金逃避国)とし、そこに留保する所得を親会社の所得と合算して課税することとしています。
(7) 過少資本税制
外資系の子会社が、本国の親会社から資金提供を受ける場合、通常は出資として資本の部に計上するか借入金として負債の部に計上するかを選択します。資本とした場合は、子会社は利益から親会社に対して配当を支払いますが、これは法人税の計算上損金になりません。一方借入金とした場合、親会社に支払う利息は、損金となり法人税の課税上借入金とした場合の方が有利となります。このため、外資系法人は資本を少なくし、借入金を多くする傾向にあります。これを「過少資本」といいます。外資系子会社の所在地国は、税収確保のため、過少資本を規制しています。
日本では、国際取引に限り、負債の額が資本の額の3倍を超える場合には、一定額を超える支払利息の損金計上を否認しています。